第6章 アイオライトの涙
「アレスさん…」
まるで痛みを圧し殺して笑うアレスの顔に、アメルは彼女の心情を察して胸が痛んだ。
アレスは戦いなんて望んでいない。
あたし達を護りたいのと同じくらい、彼らのことを護りたいに違いない。
「今日のところは、私に免じて退いてくれないかしら。部下の愚行を止めてあげたんだから」
「良いだろう」
ルヴァイドは最初から引き際を心得ていたかのように、あっさりと承諾した。
その様子に、ネスティが眉間を寄せる。
「お前達は、何者なんだ?」
それくらい教えてくれても良いだろう?…と問い質す。
ルヴァイドはゆっくりと息を吸い込み、淡々と声を紡ぎ始めた。
「我が名はルヴァイド。デグレアの特務部隊“黒の旅団”の総司令官だ」
「デグレアだって!?」