第6章 アイオライトの涙
「どういうことか、説明して頂けますか」
口振りに刺があるのは気のせいではないはずだ。
「どこから説明すれば良いのか…」
困ったように頬を掻くアレスは一度深呼吸をすると、ロッカの冷たい視線を正面から受け止めた。
「…私はあの黒騎士に、命を救われたのよ」
貴方たちを逃がした後、戦い、家屋の下敷きになりそうだった所を助けてもらった。
「ルヴァイドは私の命の恩人よ」
「…冗談キツいぜ」
リューグが吐き捨てるように言った。
「アレスよ、その命の恩人の下に聖女を届けてはくれぬか?」
「冗談キツいわ」
ルヴァイドの冗談ともつかない言葉に、アレスはリューグの口を真似て笑った。
「私は確かに貴方に恩があるわ。でも、悪事に荷担する気はない。私はアメルの味方だもの」