第4章 アマゾナイトの希望
何だかんだ言って、ロッカを心配して探し回っていたのだろう。
普段からの喧嘩腰は、そういった内面を隠したいからか。可愛い奴…とアレスは笑った。
「………」
笑われてさらに凄むリューグに、アレスは顔を背けて肩を震わせる。
そしてひとつ咳払いをして向き直ると、リューグの赤い前髪をわしゃわしゃと掻き乱してやった。
「何すんだよ…っ!!」
「ロッカと違って随分と堅い髪ね…ワックス付けすぎじゃない?」
「っイチイチうるせーんだよ…っ」
リューグはアレスの手を乱暴に払いのけて、前髪を手ぐしで整えると、ふとロッカを見つめて口を開いた。
「…で、何で兄貴があんたの寝床で寝てんだ?」
「話してたら疲れて寝ちゃったのよ」
アレスの、ロッカを見つめる瞳は、とても優しい。