第4章 アマゾナイトの希望
アレスに頭を抱き込まれ、彼女の鎖骨がロッカの鼻先に触れる。
しかしロッカは、気恥ずかしさよりも彼女の言葉に感極まっていた。
自分の中で処理できていなかった黒い感情が、嗚咽を漏らす度に体内から抜け出ていくような気がした。
ロッカはアレスにすがり付いて涙を溢す。
アレスは静かに彼の背中を擦る。
どれほどの時間、そうしていただろうか。
アレスの肩に、ぐらりとロッカの頭がのし掛かった。
「ロッカ?…寝ちゃったのね」
張り詰めていた神経の糸が切れたのだろう。
あれだけの事があったのに、アメルやマグナ達の前では平常心を装っていた。リューグは明らかに焦燥していたが、ロッカはおくびにも出していなかった。
彼の強い理性と、不安を煽らないための彼なりの心配りだったのだろう。