第4章 アマゾナイトの希望
ロッカは掌で顔を覆う。
「人殺しなんて、したくなかった…」
「ロッカ」
掌から覗く唇が震えていたことに、アレスはようやく声を掛けた。
ロッカは目元を強く擦ると、濡れた瞳でアレスを見上げる。
「おいで」
アレスはロッカを手招きし、自分の隣に座らせた。
おずおずとやって来たロッカの重みでベッドが沈む。
「貴方は頑張ったわ」
肩を抱いて、空いた手で拳を摩ってやる。
「リューグがそう言ったのも、貴方を心配しての事だと思うわよ。それは私よりも、ロッカの方がわかるでしょ?」
「…そうですね。ずっと一緒に居ましたから…あいつはああいう奴です」
素直じゃなくて不器用で直情的だけど、彼なりの叱咤だったのかもしれない。単に不甲斐ない兄に苛立ってただけかも知れないが。