第1章 カルセドニーの導き
別名天使の石とも呼ばれ、癒しの力を持っていると言われています。
人々を癒す聖女様に相応しい石です。
あまり無理してお体に障らぬよう、この石が聖女様の癒しになることを願って。
「妹さんにお渡し下さい」
アレスは至極優しく微笑んだ。
「ありがとうございますっ、きっとアメルも喜びます!」
そう御礼を言うロッカの表情はとても嬉しそうだった。
実際、妹の体調を心配してくれた者は村人の中でも久しく、初対面のアレスが気遣いをしてくれた事がロッカにはとても嬉しかった。
「あ、僕はそろそろ仕事に戻らなきゃいけませんので…アレスさんはゆっくり休んでくださいね」
「ロッカさんも、無理しないで下さいよ」
アレスの言葉にロッカは微笑んで、行ってきますと言って家を後にしたのだった。