第1章 カルセドニーの導き
「冷蔵庫には碌なものは入ってませんが、飲み物は好きに飲んでもらって構いませんので」
僕たち兄弟は警備の仕事があるので、今晩は帰れるか分かりません。
おじいさんには、僕の方からアレスさんの事を伝えておきます。
気兼ねなくゆっくりして行ってください。
そう良いながら、ロッカはアレスを妹の部屋へと連れていく。
「何から何まで甘えてしまってごめんなさいね」
ありがとう、と御礼を続けるアレス。
そして懐から手のひらサイズの石を取りだし、ロッカに手渡した。
「これは?」
彼女から受け取ったのは、春先の空を思わせるように美しい水色の石。
優しい輝きを放つそれを、ロッカは不思議そうに見つめた。
「それはセレスタイトといって、希少な天然石なんですよ」