第1章 カルセドニーの導き
「ここが僕らの自宅です」
そう案内されたアレスは、木々の間に建つ立派なロッジに感嘆した。
「なんて素敵なお家でしょう!」
「僕らのおじいさんが樵で、この家もおじいさんが建てたんですよ」
褒められて嬉しいロッカは、自慢の我が家にアレスを招き入れる。
「今は男ばかりの世帯なので汚れてますが、アレスさんは空いている妹の部屋を使って下さい」
「良いのかしら…年頃の娘さんの部屋を勝手に使ったりして…」
アレスは家の中を見渡しながら尋ねる。
「構いませんよ。あの子は聖女の仕事が忙しくて帰ってこれませんし…それに宿がなくて困っている人がいたら、アメル自身もそうすると思います」
なんと、聖女とはロッカの妹だったのか。それならば妹の身を案じて現状に気を揉むのも当然である。