第1章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事
居酒屋を出て、と一緒に俺の家に行く。
飲み直す、なんていうのはを抱くためのただこの口実に過ぎない。
そのことを彼女自身もわかっている。
だから俺達は、家に着いたあと飲み直すことなく、ただお互いを求めた。
ベッドにを押し倒し、欲望のままに彼女を抱いた。
彼女もまた、快楽に溺れた。
目を覚ますと、日の光が部屋に差し込んだ。
時計に目を移すと、時刻は6時30分を指していた。
俺は枕に顔を埋め大きく息を吐いた。
昨日のことをぐるりと思いだし、顔をあげた。
「……?」
「どうしたの?」
彼女の名を呼ぶと、彼女は台所からひょっころ顔を出す。
その手には朝食の目玉焼きが乗った皿があり、それをテーブルの上に置いた。
1LDKの部屋は、大人の女が一人いるくらいで狭いと感じるほど腐ってはいないようだ。
俺は、目玉焼きを食べながら今日の予定を確認する。
と言っても今日は日曜日だ。
ただ、バレー部の顧問として学校に行かなければならない。
不思議だ。
何年も前に卒業した高校に赴任し、そこでバレーを教えるなんて。
あの時の記憶が蘇る。
「菅原君」
「え、なに?」
「昨日は泊めてくれてありがとう」
頬を緩ませて笑う。
泊めたというか、「抱いた」の間違いだろう。
俺は適当に相槌を打った。
「じゃあ私仕事あるから行くね」
そう言って立ち上がった彼女の服は少しだけ寄れていて、それだけで昨日の情事を思い出してしまう。
俺もまだ若いな。
昨日のこと考えただけで、少し勃起してしまった。
「またね」
軽く手を振って玄関に向かう彼女の後姿を、四つん這いで追いかける。