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砂時計【菅原孝支】

第3章 それは「憧憬」と「嫉妬」と「傍観」し過ごした日





「菅原さんは、結局さんとどうなりたいんですか?」
「どう、なりたい……とは?」

言っている意味がよくわからず、俺は聞き返した。

「忘れたいと思っているなら、いちいち及川さんとやらの言葉に突っかからなければいい話ですし、好きなのであれば、逃げずにその子と向き合うべきです」

心臓に刺さった。
核心ついてくるな、赤葦は。

俺は、大きく息を吸って吐いた。
今まで逃げていたせいか、覚悟を決めるのには勇気がいた。
それでもこれ以上逃げるのは嫌だ。

「俺は、彼女のことを忘れるよ」

それが俺の答えだった。
これ以上彼女のことを考えても現状は何も変わらない。
忘れるのは狡いことだと言われた。
でも、俺にはこういう判断しかできない。
だから狡いと言われるわけだけども。
でも、もういいよ。

「まぁ、スガが決めたことだし俺は何も言わないけど、またそれでいろいろ悩んでたらぶっ飛ばすからな」

ニッと白い歯を見せて笑う大地。
ホントに殴りかかってきそうだ。
俺は「大丈夫」と言い、話はそれで終わった。

他のメンバーも帰り際「彼女大切にしよう」なんてことを笑って言った。
反面教師って奴か。


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