• テキストサイズ

砂時計【菅原孝支】

第3章 それは「憧憬」と「嫉妬」と「傍観」し過ごした日





「スガ、最近元気ないけど大丈夫か?」

夏休みの合宿中の夜、他校との主将・副主将を交えたミーティングを終え、あとは寝るだけという時間帯。
ミーティングで使った部屋を出ようとした俺に大地が声をかける。

俺は「大丈夫だよ」と答えるが、みんなのことを見ている大地はそれを見逃すはずがない。
及川もだけど、大地も目ざといな。

「ここ最近上の空だぞ。何かあったのか?」

自分が傷つけた女の子が違う男と付き合っていて、そのことが頭から離れなくて傷ついてました。

なんて言えるわけがない。
言えるわけがないんだけど、こういう時に嘘をつくのが下手なのが嫌になる。

俺は観念して大地にだけ話すことにした。
全員で払ったのを見て、俺と大地はミーティングで使った部屋の椅子に再び座る。

何処から話そうか……。
え、てか全部話しちゃう?
失恋しました、ってだけ話せばよくない?
でもそれだと恋にうつつを抜かしてただけってなっちゃうよね。
確かに恋にうつつを抜かしてたけど、そんな簡単な言葉で片付けてほしくないな。

ぐるぐる悩んだ挙句、俺は中学のことと今までのことを全てぶちまけた。
話を聞いている大地は最初こそ相槌は打っていたものの、途中からは、全然打たなくなってたまにため息が聞こえた。
呆れられてるってのがすごくわかる。
そして大地が溜息つきたくなる理由もすごくわかる。

「ってな感じです。はい」

全て話し終わった後には沈黙がやってくる。
大地は一度大きなため息を吐いて
「スガさぁ……」と言葉を紡いだ瞬間

「それはないっすね菅原さん」

と、扉を開けて梟谷の副主将の赤葦くんが入ってきた。
その後ろからは各校の主将・副主将がぞろぞろと入ってくる。

/ 40ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp