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砂時計【菅原孝支】

第3章 それは「憧憬」と「嫉妬」と「傍観」し過ごした日





青葉城西高校との練習試合後、西谷と旭は部活に戻ってきた。
俺達の止まっていた時間が、動き出した。

合同合宿の最終日には、烏野のライバルである音駒高校と練習試合が組まれている。
昔は"猫対烏!ゴミ捨て場の決戦"なんて言われ、名勝負だったらしい。

いつかは戦ってみたいと思っていた相手。
こんなチャンスはなかなかない。
だからこそ思った。

これから先、本当に勝たなきゃいけない場面で本当に"勝つ"ことができる選手を選ぶべきだ。
烏養さんが俺と影山、どちらを正セッターとしてコートに立たせるべきか迷っている。
その原因は、俺が"3年生"だからだ。

最後の試合。
3年生だから出してやりたい。

烏養さんはそう思っているに違いない。
俺は、試合に出たい。
一つでも多くコートに立っていたい。
そのためには試合に勝たなくてはいけない。
それができるのが俺より影山だというのなら、影山を選んでほしい。
"かわいそう"って思われてもいい。
俺は、まだ大地たちバレーをしていたいんだ。

影山の才能が羨ましい。
でもないものねだりしたって意味がない。

「……やるか」

俺は一つ大きく伸びをした。

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