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砂時計【菅原孝支】

第3章 それは「憧憬」と「嫉妬」と「傍観」し過ごした日




そして練習試合当日。

俺達は青葉城西高校へと向かい、練習試合をした。
第1セットを取られ、第2セットを取って、第3セットが始まるという時、体育館に黄色い声が響いた。

そこには顔立ちが整った男がいて、俺は目を見開いた。
あの時、と一緒に歩いていた奴だ。

及川徹。
影山の中学の先輩らしい。

まさか、こんな偶然があるのだろうか。
こんなところでの彼氏と出会うなんて。

俺の心の中は穏やかではなかった。
今更だ。
今更自分の気持ちに気が付いた。

試合は烏野の勝利で幕を閉じた。
少し及川と話がしたかったがそんな時間はなさそうだ。
でも及川に何を話すというのだ。

「と別れろ」
と言うのか?
何様だ。

合わない方がいいな、これ。

そんなことを考えていると、青葉城西の校門前及川が俺達を待っていたかのようにそこにいた。

彼が言ったのは、インターハイのことだった。
よかった、あっちは俺のことに気がついてはいない。
それもそうか。
昔の男、しかも一方的に振った男のことなんか言うはずがないか。

安堵の溜息を吐く。
及川は、俺達の横を通り過ぎる。
しかし、俺の前で小さな声で

「君がちゃんの元彼?」
「!!」
「気が付いてないとでも思った?試合中熱烈な視線をくれてたからすぐに気付いちゃった」

拳を強く握りしめる。
俺は大地に先に行っとくように指示をし、少しだけ及川と話をした。

「ちゃんいい子だよね。優しいし人の傷みに敏感だよ」
「……」
「知ってる?彼女ね結構モテるんだよ」
「……だからなんだよ。もう関係ないから」
「そう?俺はそんなこと思わなかったけどな。君、ちゃんのこと好きなんだろ」


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