• テキストサイズ

砂時計【菅原孝支】

第3章 それは「憧憬」と「嫉妬」と「傍観」し過ごした日





その日は彼女のことや隣にいた男のことをずっと考えていたけど、それは月日が経てば"過去"の出来事となり俺の記憶の中から消えた。

というより、そんなことを忘れるくらいの大きな事件が起きてしまった。

それは伊達工と試合をした時だった。
エーススパイカーである旭のスパイクがことごとくブロックに止められた。
それは俺の落ち度でもある。
焦っている旭にボールを集めすぎた。
周りが見えてないことはわかっていた。
でもアイツに頼るしかなくて、その結果旭は潰された。

次の日からあいつは部活に来なくなった。
そして旭を慕っていた西谷も教頭の前でいろいろやらかし、一か月の部活禁止と一週間の自宅謹慎をくらった。

それが俺にとっては心苦しかった。

西谷は言った。

「旭さんが戻ってくるまでは俺も戻らない」

その決意は固くて、俺は何も言うことができなかった。
結局旭は戻ってこないまま、3年を迎えた。

「スガ、今年入ってくる新入部員に"コート上の王様"がいるぞ」
「え、まじ?」

桜の舞う昼休み。
大地がニヤリと笑う。
俺もにやりと笑う。

影山が入部してきて、その上日向も入部して、確実に烏野は変わってきていると確信できた。
これに旭と西谷が加われば、もう"堕ちた強豪、飛べない烏"なんて呼ばれない。

そう思った。



そんなある日、顧問の武田先生が練習試合を持ちかけてきた。
対戦高校は青葉城西。

その言葉を聞いて俺の頭の中で思い浮かんだの存在。
彼女は今どうしているのだろうか。

それが気になった。


/ 40ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp