第2章 それは「昔」の「過ち」と「傷」が作り上げたモノ
俺はまだ彼女のことが好きだ。
好きだけど、俺の好意はもう意味を持たない。
付き合う前の片思いに戻っただけだ。
ただあの時と違うのは、俺の恋はもう実らないということだけ。
彼女のことを忘れたくて、彼女に抱く感情に蓋をしたくて、
俺は一層部活にのめりこんだ。
唯一の救いは、彼女と彼女の彼氏と同じクラスではなかったということだ。
もし、同じクラスだったら俺は嫉妬まみれの感情に飲まれていたかもしれない。
「菅原くん」
氷川にフラれて2ヶ月経った9月。
同じクラスになったが俺に話しかけてきた。
久しぶりにと話した気がする。
「春香ちゃんのこと、嫌いにならないであげて」
はそう言ってきた。
俺は無言で彼女を睨んだ。
今更その話してくるなよ。
俺の傷を抉るな。
そんな俺の気持ちを理解してくれないに腹が立った。
「悩んでたから、春香ちゃん。菅原くんと一緒にいる時間が少なくなって寂しいって。だから……」
「寂しくなったら他の男の所に行くのかよ。俺の気持ち無視して」
俺はに八つ当たりしてしまった。
でもすべてのことにイライラしていた俺は、この気持ちをぶつけないとやっていけなかった。
「……ごめん」
は眉毛を八の字にして、泣きそうな顔をした。
彼女は傷ついた俺を慰めるために話しかけてくれたのにな。
なんて俺は小さい男なんだろう。
俺は大きく息を吐いた。