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【6月合同企画】相合い傘

第1章 銀魂/近藤勲





私に、この人を振り向かせる覚悟なんてできないと思った。
私が知っている近藤さんは、移り変わりのしない人。
浮気なんて、絶対にしない人。

だから、振り向かせる云々の話じゃない気がした。
この人は真っ直ぐに、写真の中の女性を見つめているのだから。

『じゃあ、私バイトあるので失礼しますね』

そう言って、近藤さんから逃げた。
無理だと知った恋を、続ける意味なんてどこにもない。
終止符を打とう。

それから、私と近藤さんはあれ以来会うことはなかった。
私がバイトを増やしたのもあったし、
近藤さんも仕事が忙しくなったらしい。

でも、一方的に近藤さんの姿を見ることがある。
黒い隊服を身に纏って、部下を引き連れて堂々と歩く彼の姿はかっこよくて、

同時に
写真の中の女性と一緒にいるところも見ることがあった。
二人きり、と言うわけではない。
しかし、彼の瞳を見て分かった。
目が、好きだと言っていた。

その度に、ポキリと折れてしまう心に腹が立った。
あの人が、他の人をどれだけ大事にしていても、
それを見せつけられても、

ポキリと折れずに生きたい。
生きていけるようになりたい。

近藤さんがあの人を想って、時たま見せる不安そうにする顔を見ても
私の心がぐしゃっと潰れないようになりたい。

そのためには、
しっかりと食べて
ちゃんと寝て
キチンと起きて
精一杯バイトをしよう。




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