第1章 銀魂/近藤勲
私たちはファミレスに立ち寄った。
ご飯を奢ってくれるらしい。
「好きなものを頼みなさい」と言われたけど、気が引けたというか遠慮して、
イチゴパフェを頼んだ。
『今日は、隊服じゃないんですね』
「今日は休暇なんでね。あ、だからさっき俺のこと不審な目で見てたんですね!!」
はっはっはっ!!と口を大きく開けて笑う。
普通だったら気分を害すんじゃないかな、不審な目で見られてるってわかったら。
なんていうか、懐が広いお人だ。
しばらくして、私が頼んだイチゴパフェが運ばれてきた。
「いただきます」と一声かけて、スプーンですくい口に運ぶ。
甘い味が口の中全体に広がって、自然と顔が緩んだ。
「そういえば、自己紹介がまだでしたね」
『あ、そう言えば……。えっと私はです』
「俺は真選組局長の近藤勲です」
『ぶっふぉっ!!』
口に含んでいたイチゴを思いっきり吹き出した。
咳き込むの背中を擦る近藤さんの手つきは優しい。
私は頭を下げて何度も謝った。
まさか局長だなんて……。
『すいません……、ちょっと驚いちゃって』
「はっはっはっ!!なかなかそうは見えないでしょう!」
『あ、いえ……言われてみれば納得はします』
きっとこの人は部下に慕われて信頼されているんだろうな。
想像できてしまうあたり、すごい。
近藤さんはきっとその大きな懐で、みんなを抱えてここまで生きてきたのだろう。
雰囲気が、近藤さんが纏う雰囲気がそう物語っている。
素敵な人だな、と心の中で呟いた。