第5章 ハイキュー!!/縁下力
『マンホールはセーフね』
くるり、くるくる。
まるで傘が逆さまになって回るように、彼女はマンホールの上で回った。
俺は笑みをこぼして、彼女と一緒に雨に打たれながら
赤色のタイルを踏んで、マンホールの上で踊った。
いつの間にか雨は止んでいた。
でも、俺達は傘も閉じずに夢中で赤色のタイルだけを踏んだ。
それが俺達が仲良くなったきっかけ。
と話すようになったきっかけ。
その日から俺達は毎日一緒に帰るようになった。
部活があったけど、はそれまで待ってくれている。
教室で本を読んでいたり、歌を歌っていたり、時間を潰して。
「、帰ろう」
『うん』
この日も雨が降っていた。
一つの傘に、肩を並べる。
これが、俺達の「普通」になっていった。
彼女と一緒にいるのは、楽しかった。
クラスの中にいるより、数倍。
なんでかはわからない。
『赤色タイル発見!!』
その合図で俺達は、赤色タイルだけを踏むゲームをする。
それが毎日の恒例行事。
飽きはしなかった。
街灯の下、二つの笑い声が響く。
傘を地面に捨てて、
マンホールの上に立つ俺ら。
だけど、小さな円に二人は乗れなくて、体格的に小さいがバランスを崩す。
その腕を咄嗟にひいて、自分の方へ抱き寄せた。
自然とを抱きしめる形になって
俺は、一気に顔に血が上った。
「ご、ごめん!!」
『なんで謝るの?』
「え、っと……それは」
言葉を濁す俺。
確かになんで謝っているんだろう。
別に悪いことしてないのに。
すると、隣でくすくすと笑う声が聞こえて「どうしたの」と聞いた。
『だってすっごい心臓がドキドキってしてて面白かった』
カァァッとまた顔に血が上った。
でも彼女の笑う顔を見て、バカらしくなって俺も笑った。