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【6月合同企画】相合い傘

第4章 ハイキュー!!/木兎光太郎




一つ傘の下二人。
周りから見れば恋人同士に見えるだろう。
でも、私たちはそんな関係じゃない。

「ちょっと砂浜歩かねえ?」

白い歯を見せる木兎。
こんな荒れてる海の砂浜なんか歩きたくない。

だけど、私は何も言わなかった。
何も言わないで、木兎と一緒に砂浜を歩いた。

波が足元にくるくらいまで、近づいた。
潮の匂いが一段と濃くなる。

少しだけ、お互いの肩が触れ合う。
厚着をしているのに、木兎の熱が伝わってきてる気がする。
気がするだけで、本当は伝わっていないのかもしれない。

そろそろ本当に諦めなきゃいけないかもしれない。
もう、苦しい想いしたくない。

でも、どうすればいいんだろう。
"諦める"ってどうすればいいの。

"諦める"って決めて、その通りに行動すればいいの?
その後の選択はすべて"だって諦めたんだから"って言って
自分の本当の心から
逆へ逆へと行けばいいの?

そしたらいつか
グレーの髪の色の匂いも
優しい声色も
肩から伝わる体温も

ぜんぶぜんぶ
あとかたもなく
まるでなかったかみたいに
ぜんぶ消えてなくなる日がくるのだろうか。

そんな日がいつか―――……。

「なあ」

その時、頭上から声が聞こえた。
私はうつむいたまま「なに」と聞き返す。

「俺、彼女と別れたからそんなに気にしなくていいよ」
『え?』

どうやら木兎は、私が喋らないのは彼女のことを気にしているからだと思っているらしかった。
いや、まあ間違ってはいないけど
喋らない理由は他にもある。
けど、それを言う必要はどこにもないからそういうことにしといた。

『なんで、別れたの。あんなにいい感じだったのに』

自分で言ってて悲しくなった。
雨は今だに降っていて、早くやんでくれないかな。
そしたら、傘を閉じてバイバイってお別れ。

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