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【6月合同企画】相合い傘

第4章 ハイキュー!!/木兎光太郎





そんな1月のある日。

運動部が部活を引退して、受験モードに切り替わりそれがスタンダードになる頃。
土曜日だというのに、受験勉強のために学校に行き勉強する。
授業が終わったのは午後の4時。

外は雨が降っていた。
朝はあんなに晴れていたのに、雨だなんて聞いていないよ。
玄関先で佇んでいると、木兎が話しかけてきた。

「傘忘れたのか?送ってくぜ」

久しぶりに話しかけられた。
胸の中で熱い想いが身体全体に広がる。
わからないけど、涙が溢れそうになって、見られたくなくて私はマフラーに顔を埋めた。

『大丈夫、だから。彼女さんと帰ればいいじゃん』
「あいつはもう帰ったから。大丈夫だって」

そう言って、私の腕を無理やり引いて傘の中に入れる。

大丈夫って何が大丈夫なんだよ。
私が大丈夫じゃないから。

二人肩を並べて、帰り道を歩く。
昔より身長も身体つきも変わって、私の知っている木兎じゃないみたいで、
寂しくて、ドキドキした。

こんなところを彼女さんに見られたら、彼女さんを傷つけてしまう。
木兎の好きな人を傷つけてしまう。
そんなの嫌なのに。
なのに、傘の中から出られずにいる。

私って最低な人間だ。


「なんか、久しぶりだな!お前と一緒にこうやって帰んの!」

白い歯を見せて笑う木兎。
何当たり前のことを言っているんだ。
あんたはいつも彼女さんと帰ってるんだから、そんなの当たり前だよ。

無言の時間が流れる。
すごく居心地が悪い。
雨はやむことなく降り続ける。
靴から雨が浸透して足を濡らす。
冷たい。早く帰りたい。

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