第2章 初めての依頼(ミッション)
「うわぁっ!!」
この洞窟を、もはやかつてのものと同じにしてはならないと感じた。
明らかに多すぎる。トラップが。
だが、そんなフェリアをよそに…
「またですか?気をつけてくださいよ~」
待ち受ける数多のトラップにも顔色一つ変えず前を歩くレイシス。
「レイシス、お前はなぜ引っかからないんだ?
まるで、トラップが視えてるかのような…」
「ええ、視えてますよ。俺にはね。」
「視え、てる…?まさかお前、【眼】を…?」
「察しがよくて有り難いですね。
まさにその通りですよ。」
【眼】―それは魔術師、それも高位の魔術師のみが持つ特殊能力の一つである。
この世のあらゆる異変を察知できる、言わば“真実を視る眼”。
「レイシス、【眼】というのは、実際どこまで視えるものなんだ…?」
「実際、ですか。そうですね…」
レイシスは少し考え込む。
…が、次の瞬間にはもう、フェリアの視界から消えていた。
「…!!!」
背中に感じる温もりと心拍音。
フェリアはレイシスに、後ろから抱きしめられていた。
さっきまで前を歩いていたはずなのに、いつの間に後ろへ回ったのだろうか…?
そんな思考はレイシスの言葉で直ぐにかき消された。
「例えば、俺がこんなことした後の、フェリアの心の中、とかですかね…?」
耳元で囁かれた声に、思わず身体がビクリとする。
「レイシス、お前っ…!!!」
フェリアはすぐそばにあるレイシスの顔を睨みつけた。
「別にそんなに照れなくてもいいじゃないですか~?
まあ、フェリアの心の中なんて【眼】を使わなくてもすぐ分かりますけどね。」
そんなことを言いながら再びフェリアの前に姿を現す。
「ふんっ。視えるもんなら視てみろ。」
そんなことを話している内に、大きな広間のようなところについた。
だが、そこにあったのは、鉄鉱石ではなく…