第34章 真斗×ウェディングドレス
「それでは、新郎新婦の入場です!」
パチパチ
その後の挙式は
何事もなく始まり、
幸せそうな夫婦を演じる2人を
皆で祝福し…
彼女を俺のものにすることが出来なかった
という事実だけが
俺の胸に重くのしかかる。
「○○…さん…」
さっきまで彼女を抱いていた手が
まだ彼女の熱を覚えていて
余計に虚しくなる。
「俺はどうしたら…」
この空間に耐えられなくなり
俺はそっと会場から抜け出した。
見ていられなかった。
彼女が他の男のものになるところなど。
受付のあるあたりでボーッと座っていると
「すみません。
聖川様…ですか?」
と、受付の方に名前を呼ばれる。
「あ、はい?」
「あの、こちら…」
手紙?と思われる封筒を渡される。
「?」
「あの、新婦の□□様からです。」
ドキ…
俺はその手紙を受け取って、
誰にも見られないように
手洗いの個室で読む。