第32章 那月+砂月×制服
"きゃーっ、あの二人かっこよくない?"
"ほんと!王子様みたーいっ//"
"かっこよすぎでしょ!!"
なんて、廊下を歩いているだけで
この歓声。
どこにいたって、
二人の居場所がわかってしまうくらい。
「うわぁ〜このシュークリーム
美味しいですねぇ〜//
○○ちゃんも、半分どうですか?」
『え、いや、…いい。』
「おい、那月
ほっぺについてる。」
グイっ
ぺろっ
「あっ、ありがとぉ〜
さっちゃんぎゅーっ」
「いらん。」
ガシッ
砂月に抱きつこうとして
頭を押さえられる那月と
それを一歩…いや、五歩ほど後ろで
見守る私。
これはいつもの絵面ではない。
何故なら私は
極力二人の幼馴染という事実を
気づかれないようにしているからである。
だって…
"なんであんたが二人の幼馴染なのよ!?!?"
"消えろ!!"
"二人に近寄らないでよ!!"
とまぁ、あるあるネタで
フルボッコにされた経験あるし…
だから、普段は近づかない。
けど、今日は…
「で、お二人に相談なんだけど…
来月の学校新聞、君たち二人の密着取材をそのまま記事にしちゃおうかななんて、考えてて…」
そう言って自由な二人の後をちょこまかと
歩く新聞部部長の奥谷さん。
その補佐として今日は二人の後ろを
付いて回っている。
私は二人に縁もゆかりもなさそうな
新聞部に入部していた。
「えぇ!?!?記事に…ですか?」
(さっきからそう言ってんじゃん…)
「…てか、俺らにメリットあんの?それ?」
話を聞いているのかいないのか(てか、多分ほとんど聞いてない)
シュークリームを頬張り続ける那月と、
鋭いところついてくる砂月
「っ…!!?…それは…」
言葉の詰まった先輩に砂月は…
「ま、いいぜ。」
と、口角を上げた。
(なんか、やな予感…)