第31章 セシル×OL
そして、いつものように
ランチを食べながら
外を眺める…
裏通りにあるとはいえ、
人通りがないわけではない。
数少ない歩行者を観察する。
(ほぼ趣味だよね…人間観察。)
そして、観察対象と目が合いそうになるとパッとお皿に目をやって
少し経つとまた観察を再開したりしてる。
そのなかで毎日私がこのカフェに来るのと同じように、
毎日このカフェの前を通る人物がいる…
何故か気になるその人を観察するのが少しの楽しみ。
(今日はもう、来ないのかな…)
もうすぐ食べ終わるパスタに目を落として、再び窓をみると
(きた…!!)
外国から来た人なのか日本人離れした浅黒い美形の人。
漂う、豊かで穏やかな雰囲気…
なんだか見ているだけで…
(神々しくて…幸せな気持ちになれる…)
私の視線に気づいたのかこちらに目が向きそうだったので
私はパッと残りのパスタを食べて素知らぬふりをする。
そして、チラッとその人をもう一度見ようとすると…
『え…』
ジッと立ち止まって私を見つめるその人。
そして、何か彼が言おうとしたときに、
ピピピピ…
『…!!!』
ランチタイムの終了を知らせるアラームが鳴った。
アラームを止めてすぐに窓を見たけど…
(いない…)
彼はどこにもいなくなっていた。
(気のせいだったのかな……)