第30章 レン×吸血鬼
○○side
今日森に果実を採りに行っていると、木にもたれかかったいかにも怪しい男を見つけた…
(なんだったんだろ…あのチャラチャラした格好は…
今、街ではあんなのが流行ってるの?)
街に3年ほど顔を出していない私は、不思議に思いながらも自分を納得させて大男を家に運んだ。
もちろん一人では無理だから近くにいた馬に助けてもらった。
私はこうやって、この森の中で
何不自由なく、自然だけに囲まれて生きてきた。
久々の街…
私は顔を隠すように帽子を深くかぶり、
変な輩に絡まれないように身なりは貧乏くさいものにした。
そうしないと、田舎者だとバレてすぐ絡まれ、お金を根こそぎ盗まれるから。
(はぁ…変に緊張するなぁ…)
身支度を終えて、寝室の方に向かうと
「…そんな格好でいくのかい?」
とレンがジロジロと私を見る。
やっぱり街の人間なのね…お洒落に気をくばっていそうだもんね…
私はそんな彼に
『うん。こうしないと、田舎者は大変なの!』
と言って平気な顔をして玄関先に向かった。
「大丈夫…?」
緊張が伝わったのか少し心配そうにする彼に
『うん。ちょっと緊張するけど、いってきます!
服と、靴を買ったら帰ってくるから…』
と言って久々の街に出かけた。