第30章 レン×吸血鬼
「あ、…うん……
君が…俺を、助けてくれたのかい?…」
『うん!!
お兄さん、餓死寸前だったからさ、
確か、うちの野菜いろいろと口につっこんで食べさせたんだ〜』
そう言いながらゆらゆらと揺れるカーテンの方に視線を移す。
(確か…?)
なんて思いながらその視線の向く方を見ると
「畑…??」
それはそれは立派な畑にたくさんの野菜や果物が生っていた。
『うん。私の畑‼︎
立派でしょう?』
得意げに仁王立ちになる彼女は
どう見ても子どもだった。
16歳…くらいかな?
ジーッ
『なに?』
「あ…いや、名前をおしえてもらってもいいかな?」
『あーっ、そうだった‼︎
私は○○。ここに一人で住んでるの。』
「○○…へぇ…、じゃあよろしくね?レディ?」
『レ……??…ん、まぁいいや、よろしくね!
ところで貴方は?』
「俺はレン…今日は助けてくれてありがとう…
君がいなかったら俺は死ぬところだった…
あ、それと君には聞きたいことがいくつか…」
俺がベッドから降りようと布団をめくると…
「!?!?!?!?///」
(な、何だ、この格好!?!?)
お尻がちゃんと入っていない7部丈のパジャマを履いた下半身が見える。
そう言えばこの羽織ってるシャツも……
ミチッ
(なんか、ピチピチだなぁ…)
『あ、ごめん。
ベッドに寝かせようと思ったら
服がかなり汚れてたから…
私の部屋着…というかパジャマを着てもらったの…』
「俺の洋服は?」
『洗濯して、今乾かしてる…』
またまた窓の外に目をやるレディ。
そこにはパタパタと風に揺れる俺のシャツとズボンとブーツがあった。
(あーあ…ブーツまで…)
さっさと退散しようと思ってたのに…少し長居しなきゃいけないみたいだな…
吸血鬼だってバレないようにしないと…
というか、この子を1週間で育てて食べてしまえばいいじゃないか…
…うん。それがいい…
『じゃあ私、街に行ってくるよ…
君の服を買わないと…
レンはもう少し眠ってていいよ…』
「…うん…ごめんね…」
『いいよ〜
またお腹空いたら冷蔵庫に入ってあるものなんでも食べていいからね〜』
そうヘラッと笑って
彼女は身支度を始めた。