第28章 トキヤ×チアガール
中学校のとき、
私はすでにHAYATOを演じていました。
いつも女生徒が喜びそうな台詞を
恥ずかしげもなく、
狙ったようでもなく言ってのける。
男女問わない人気者
HAYATOはそんな男でした。
放課後、誰もいない図書室でひとしきり本を読んで
そのストレスを解消していました。
ペラ…ペラ…
ページをめくる音が耳に心地よくて
夕方の涼しい風もすごく気持ちが良かった。
そして、私と同じように
図書室の隅で本を読んでいる方がいました。
この方…確か3組の…
かなり優秀な方で
今読んでいる本も、文学本ではなく
英語の論文のようでした。
いつも決まった時間にその場所にいて
決まった時間に本を返して帰る。
私は少し興味のある彼女を
中学生ながらに追いかけてみようなんて
考えてしまいました。