第26章 おまけ
華絵side
「嶺二‼︎」
って呼んだけど
嶺二は振り返らずに
走り去っていった。
「お姉ちゃん、私、
行ってくるね!」
私はすぐに
家を出て、
嶺二が行きそうな場所を探した。
いつもデートする場所。
学校、嶺二の家。
でも、…
嶺二はどこにもいなかった。
「はぁ…はぁ…
嶺二…
どこ…?」
肩で息をしながら
歩いていると
初めて嶺二とデートした
公園に着いた。
あの頃、嶺二も私も
何をすればいいのか分からなくて
ベンチでぼーっと
空を見ながら
ずっと手を握っていた。
嶺二が大切にするって思ってるのが
手から伝わって
私もずっと一緒だって
握り返した
**
公園のベンチに向かうと、
嶺二が俯いて背中を丸めていた。
「やっと見つけた…」
私は嶺二に近づいて
そっと後ろから抱きしめた…
**
嶺二side
ギュゥ
後ろから大好きな匂いがして
涙が出そうになる。
こんなときだけ、優しくしないでよ。
「嶺二…風邪ひくよ?」
耳元で聞こえる声も
僕を包んでくれてる腕も
何もかも好きすぎて
僕は華ちゃんを拒めない。
スッ…
華ちゃんの重みが消えて
あー、手が離れたんだ
と寂しくなったけど
首元に華ちゃんの匂いと温もりが残る。
ハッとして
首元に触れると
?…マフラー?
マフラーが巻かれてあった。
僕のじゃないヤツ。
首を傾げる僕に
華ちゃんが隣に座りながら
「それ、嶺二のために編んだの…」
と言う。
少し恥ずかしそうに俯いて
頬を赤らめる華ちゃん。
僕は頭が追いつかないまま
ポロポロと泣き出していた。
「華ぢゃぁぁあんっ
なんで、っ、
僕のごと、っぎらいになったんじゃ…」
すると、僕のこんな姿に
驚きもせず
静かに言い放った。
「…私は、嶺二のこと
嫌いになったりしないよ。」
その瞳は真っ直ぐで
久々の華ちゃんを感じさせてくれた。