第24章 カミュ×スーツ
コツコツコツ…
ヒールの音を響かせて
俺の机の前で立ち止まる女…
名を□□ ○○という。
『課長…明日のプレゼンの資料できました。
確認、お願いします。』
「お、早いな……
あとで目を通しておく。
愛島のフォローをしてやってくれ。」
『はい。お願いします。』
ペコッとお辞儀をして
デスクへ戻る彼女は
仕事はできるし、
容姿も端麗、礼儀正しさと
清潔感をもちながら
対人面にも優れ、
オフィス、いや
部署中の人気者だ。
そんな彼女と俺は
役職がら一緒に仕事をすることが多い。
そこから生まれる信頼関係もある。
「ありがとうございマス。
助かりましタ。」
『いえいえ、
愛島くんはまだ
この部署入ったばっかりだもん。
困ったことは何でも聞いてね?』
「ハイ。」
こんな、誰にでも優しく
誰にでも平等な彼女のこの笑顔を
独り占めしたくなるなんてこと、
表には出してはいけない感情だ。
そんなある日
『グスッ……グスッ…』
ひとけのない休憩室で
泣いている彼女を見つけた。
「□□?」
と声をかけると
はっとした様子で
さっと涙をふきとり
『か、課長、
どうされました?
珍しいですね
この棟にくるなんて…。』
と、笑顔をつくった。
俺はそんな彼女にそっと
近づいて
少し垂れ下がった
前髪をサラッと耳にかける
一瞬目を閉じて
ビクッとした彼女が
徐々に目を開く…
『かちょ…』
「俺にしておけ…」
ギュゥゥッ…
『へっ!?!?/////』