第21章 蘭丸×スポーツユニ (前編)
ダンッダンッ
ボールの音が間近に聞こえるこの場所は
他の女の子の声に
あまり邪魔されずに
先輩の姿を見られる。
いつか友達に言われたな…
それだけでいいの?って
確かに先輩は
私のことを認識していないかもしれない。
そもそも私は
先輩とどうなりたいのかな…
付き合ってイチャイチャしたい?
うーん…
それは凄く嬉しいけど…
フラレるって分かってて
告白するのって
なんだか自分勝手な気がして…
でも、もうすぐ先輩も引退だし、
卒業してしまう。
そうなってから後悔するのは
わかってるから…
せめて、連絡先だけでも
教えてもらいたいな…
って
頭のなかごちゃごちゃになりながら
考えた結果
今日、連絡先を聞くことにしました。
部活も終わり人気のなくなる
19:20、このときに
絶対に声をかけるんだ。
私は何度も頭でシミュレーションしながら
練習風景をガン見していた。
**
19:00
鞄を抱き抱えながら
小走りで校門の方へ向かう
運動音痴で地味で根暗な私は
怖い人たちに絡まれないよう
目立たないよう生きてきた。
今日、そんな自分から
一歩前へ踏み出すんだ。
誰にも会わずに校門に到着し、
蘭丸先輩を待つ。
パラパラと部活終わりの生徒が
私の前を横切っていく。
まだかな…
いや、でももう少し待って…
なんて考えながら待っていると
「あーっ!!!!
ストーカーちゃんだ!!!!」
と、大きな声で
私を指差す男が一人
『えっ!?!?!?』
私は驚いて目を見開く
嶺二先輩!!!!
初対面の会話とは思えない
その内容に
心臓が変に反応する