第16章 真斗×花魁
「酷い顔をしているな……」
『なっ!!!』
目の前に現れたのは…
「なんだ?
もう俺の顔を忘れたのか?」
いつもの侍の格好ではなく、
着物を綺麗に着こなした
聖川さんだった。
『い、いえ……あの……』
頭にいくつもはてなが出てくる私に、
聖川さんは
「実は龍也さんと話し合ってな…
お前を俺が
買うことにしたんだ。」
と言う。
買う?
でも、この人ただのお侍よね?
そんなお金……;;
『あの……よく、意味が…;;』
いつの間にか
踊り子や三味線が
席を外し
大きな部屋に私たち二人になっていた。
「申し遅れた…
俺の名は
聖川財閥が嫡男
聖川 真斗だ。」
『ひっ!??』
聖川財閥!?!?
す、すすすごい
大金持ちじゃないですか…;;;
そ、それが何故侍に?
いや、そもそも
うちで働いてた理由は?
頭がごちゃごちゃして
難しい顔をしていると
「俺はあまり、自分の身分に
納得がいってなくてな…
家をつぐ前に
色々としておきたいことを
やっていたところ
お前のところに雇われた。
それから傷つくお前の姿を
ずっと見てきた。
だから、俺は
お前を傷つけるこの場所から
お前を助け出したい。
だから、俺のものに
なってくれ。」
私の手をしっかりと握って
私の目をじっと見つめる聖川さんから
目が離せなかった。
聖川さん…//
『わ、わわたしなんかが…
よろしいんですか?』
そう、貴方と私じゃ
身分が違いすぎる…
「かまわん。
話しはもう通してある。」