第16章 真斗×花魁
「話は後だ!
林檎!お前もその豚を
捕まえろ。」
「えーっ;;;
わかったわよぉ……」
どうやら、味方らしい。
「こっちへ…」
『は、はい!!』
俺はさっと、
太夫を廊下へ連れ出し、
安全な場所に待避させ、
戻っていこうとする。
すると、ガシッと
袖を捕まれる
「っ!!?」
ばっと振り替えると
少し震えた声で
『あ、ありがとうございます…
あの、お名前…』
「……聖川だ…聖川 真斗だ。」
俺は震えている手を握りしめて
流れた涙を拭う。
『っ……//』
「怖かっただろう…
胸ぐらい貸すが…
要らぬか?」
彼女に笑ってほしくて
微笑むと、
『…っ、うぅ…
怖かったぁ…っ!!』
彼女は、俺の胸にしがみついて
泣きじゃくった
その様子はただの町娘となにも変わらない
健気で愛らしい少女だった。
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一通り泣いて
疲れたのか
俺の胸でうとうとし始める。
そこに、
「いやぁ、久々の仕事だが、
骨のない野郎だったな。」
「そうね~…」
「ってオイ、なにしてる。」
部屋から出てきた彼女の兄に
少しにらまれる。
「もう、やめなさいよ龍也ってば!
この人がこの子助けてくれたんでしょ?」
「…ん、まぁそうだが…;;」
頭をかきながら
バツの悪そうな様子で
「ありがとな…」
とお礼を言われた。
「い、いえ、
こちらこそ、主がとんだ無礼を……」
俺は彼女を林檎さんに任せて
龍也さんと
話をした。