第16章 真斗×花魁
俺の視線の先にいる女を
見てこういう女。
「あ、いや……すまない…;;」
俺はその女に向きなおる。
「別にかまいませんよ。
皆さん、私たちを踏み台にして
彼女を落とそうとするんですから。」
「……そうなのか?」
「ええ。
それに、彼女なら別にいいと思えるんです。
彼女、外見もですけど、
内面も素敵な方なんですよ?」
「…ほう……」
俺はその夜
その女に高尾太夫について
色々と聞いた。
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そろそろ
帰らねば……
明日も鍛練なのだった。
辺りを見渡すと
まだまだ酒を飲み続ける者
吐く者
女を床へ連れ込む者
ひどい有り様だった。
すると、
「きゃぁぁあっ!!!」
「やめてくださいっ!
やめてくださいっ!」
そこには、
太夫を無理やり床へ連れていこうとする
我が主に、
抵抗する高尾太夫。
必死に阻止しようとする、遊女たちがいた。
「もう、我慢の限界だ。
こんな、お酌だけして
帰れなんて男には酷だぜ?
もう、こんだけ
金だしてんだからいいだろ?」
細い腕を引きちぎれそうなほど引っ張り、
どこかの床へ連れていこうとする男に
女たちの力では
歯が立たない様子だった。
俺はさっ、とその場を抜け出し
二人を追いかけた。
『は、離して!!!
お兄様っ!!!誰かっ!!!』
豪華な衣装を着た女が
ある部屋に連れ込まれているのが見えて
走っていく。
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一方、宴会場では
城の家来達が一斉に
追い出されているところだった。
「高尾様にてを出すなんて!!!
なんて下品なの!!!」
「二度と来ないで!」
そして、出禁になった。