第11章 シンドリア
雄「・・・マリアの事をこの国で話さなければいいのだろう。」
ジャ「っ!」
いつものジャーファルからは考えられないほどに驚いた顔をしている。
ジャ「な、んで・・・。」
雄「・・・ジャーファル殿、俺はこの国に干渉するつもりはない。しかし・・・レイを守るためなら、どんな事でもする所存だ。」
ジャ「!」
雄「・・・あの子は、守らなくてはならないのだ。」
蓮「・・・レイ、他の子とはちょっと変わってるからなぁ。」
雄「貴方の立場を以てしても、レイを守り切れない事だってあるでしょう。・・いえ、“その立場のせいで”守れない事もあるでしょう。」
ジャ「・・・貴方は・・。」
雄「貴方は、貴方の信念を貫いて下さい。」
レイ「・・・んぁ・・。」
蓮「おはよーレイー。」
レイが目を覚ましたものの、ある一点を見つめたまま動かない。
空が、曇って来た。
雄「・・・どうかしたか?レイ。」
レイ「・・・来る。」
ジャ「・・・来る?」
シンドリア全体に被さる影。
レイ「・・・迎えが来た。」
ふわり、とレイの体が浮く。
ジャ「レイ!?」
ふわり、ふわり、と雄と蓮、ジャーファルの体も浮いた。
雄「ふむ、今度は空か。」
蓮「はっはっは!!今度はどんな場所なのだろうな!!」
ジャ「な、何ですかコレ!!」
ジャーファル達の騒ぎ声(主にジャーファル)を聞きつけたシンドバッドと八人将が駆けつけたが、全員唖然としていた。
シン「ジャーファル!!?」
ヤム「えぇええっ!?何で浮いてるの!?」
シャル「何だありゃあ・・・!!」
レイ「ちょっと出かけてくるね!」
シン「レイ!?出かけるってどこに!!」
レイ「迷宮!!」
そう言い残すなりレイ達の姿は消えてしまった。
ヤム「ダ、迷宮!?迷宮なんて何処に・・・!」
アリ「な、何で消えたんだ!?」
全員が動揺している中・・・
アラジン「お姉さん・・・。」
アラジンだけは、空を見つめていた。