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クレイジー・ラビット〜変態と天才は紙一重〜

第1章 01


 我が家の長男、“不死鳥”マルコには、妻がいる。それも一回り年の離れた幼妻だ。名前はハナと言い、驚いたことに海軍ヒナ嬢の妹君だ。
 彼女がこの船に乗ったきっかけが、また変な話、一目惚れ、と言うやつだった。
 その日は天気がとてもいい日で、船の窓から外を眺めていたハナの目に映ったのが、傘下の船に赴いていた不死鳥姿のマルコだった。ハナは雲だらけの空の中、悠々と飛ぶその姿が痛く気に入り、乗っていた船を飛び出す。そしてマルコの家であるモビー・ディック号に乗り込み、生まれ持った(斜め上の)センスで親父を虜にし、挙げ句の果て船医という形でこの船に居座ることに成功した。
 そんなハナのことを、親父大好き(まぁみんな大好きだが)なマルコが、好ましく思うはずがない。それなのに2人が付き合って、さらに結婚までしたのはやっぱり彼女が持つ(斜め上の)センスに、マルコが飲まれたからかもしれない。
 さて、なぜこんなにもハナのことを話しているかと言うと、また彼女が他人に出来ないことをしでかそうとしているからだ。馬鹿と天才は紙一重と言うが、変態と天才も紙一重だと思う。いや、もしかしたら“変態”と書いて“バカ”と読むのかもしれない。
「なぁ、ハナ。今回はなに作ったんだ?」
「飲んでみる?」
「結構デス……」
 ハナとエースの会話が微笑ましいと思いながら、俺、サッチは彼女の前にコーヒーを差し出した。もちろん、ハナが飲むのではない。これから来るであろう、仕事終わりの旦那様にあげるのだ。だから俺もブラックで淹れた。
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