第12章 木吉鉄平編
木吉先輩は大量の花火セットを持って砂浜で待っていた。
「皆、花火を楽しもうぜ!!」
「何が楽しもうぜだ、ダアホ。」
「花火をしすぎて鼻、鼻炎。
キタコレ!」
「……馬鹿は放っといて、早くしよう。」
木吉先輩、日向先輩、伊月先輩、リコ先輩のやり取りを見ていた私は腹を抱えて笑った。
バスケ部は皆集まり、わいわいと騒ぎながら手持ち花火に火をつけていく。
火神くんと黒子くんのやり取りを遠くから、大きな流木に腰を落とし、線香花火をしながら眺めていると、木吉先輩が隣に座って来ていた。
「楽しんでるかい?」
私は笑顔で先輩に、はいと答えた。
距離が近いから、ドキドキする。
木吉先輩の笑顔でキュンとした私。
「なぁ、アリサに言いたい事が有るんだ。」
なんですか?
私は線香花火がぽたりと落ちて、木吉を見る。
「……」
木吉先輩はボーと私を見つめる。
私は木吉先輩の瞳に吸い込まれるかのように、じっと見る。
次第に私の顔が火照り、耳から煙が出そうだった。
焦らす木吉先輩に、私は言った。
早く言ってください!/////
逆に私から言いたい事いいますよ?/////
可笑しな事を言った。
だけど、木吉先輩は真面目な顔だった。
私の言葉に笑わない。
「じゃあ、先に言ってくれるか?」
私はうなずき、言った。
木吉先輩、私は……
木吉先輩が大好―
突然、木吉先輩は私をぎゅっと抱き締めた。
「俺も好きだ。」
耳元で聞いた時、空には打ち上げ花火が花開く。
私は木吉先輩と抱き合いキスをした。
チュッ
「始めて会った時から、好きだ。」
私は木吉先輩をぎゅっと抱き締め返した。
私も、大好きですと伝えた。
「アリサ、付き合ってくれないか?」