第9章 花宮真編
私は霧崎第一高校バスケ部のマネジャーをしている一年生。
ウィンターカップのかかった大事な試合が行われる前で、控え室にいたときだった。
私は花宮先輩に向けて叫んだ。
私は花宮先輩が大嫌い、バスケをやめちゃえ!!!
「水城アリサ、言っていることが分からないなぁ。」
花宮先輩はカハっと笑って私を見た。
私は控え室を飛び出し、廊下を走って外に向かう。
誠凛高校との試合で、過去に選手をケガさせて病院沙汰になったを聞いてしまった。
確かに妙だと思った。
いつも試合をすると相手側はキャプテンやエースばかり負傷していた。
花宮先輩は必死にやってるからそうなった。と言ってたけど、流石に三度目になると疑う。
私の瞳には涙が浮かんだ。
どうして、純粋に楽しめないのか。
私なりに考えた。
だけど、花宮先輩に対しての憤りは収まらない。
今日はその誠凛高校との試合だったから―
私は扉を勢いよく開けて外を出た。
そしてその場に崩れ泣いた。
―私は霧崎第一高校に入学式し、新入生の部活動の誘いがあった時を思い出していた。
「君、良かったらバスケ部のマネジャーになってみる?」
花宮先輩に指を指された私は、私?と自分に指を指した。
部活動を覗いたら、皆練習をしていた。
花宮先輩の友達、瀬戸先輩はアイマスクを着用して寝ていたけど。
「どう?
入ってみる?」
花宮先輩は私の肩をポンポンと優しく叩く。
私はマネジャーになりたいですと言った。
名前を教えると花宮先輩は微笑んで、私を歓迎してくれた。
「水城アリサ、覚えておくよ。」
私は花宮先輩が好きだった。
花宮先輩が投げたボールがゴールに入った時、花宮先輩のあの笑顔。
―あ、私、最低な事を言った。
花宮先輩はゲスな事をしていても、本当にバスケが好きなことを。
謝らないと……
私は二時間近く悩んだ末、花宮先輩に会いたくなった。