第21章 凝と約束と不戦勝
翌日。
「…………ん?」
目覚めると、自分の部屋のベッドの上にいた。
あれ?
私って昨日ズシと別れたあとちゃんと部屋に戻ったっけ?
………いやいやいや、それはないはず。
だってそれからズシにハンカチ渡そうとして………
あれ!?ハンカチは!?
鞄のなか、ポケットのなか、もちろん部屋のなかもくまなく探す。
「あれー?私ってハンカチ渡したっけ?」
全く記憶がないんだけど……
コンコン。
「ん?」
誰か来た。キルアかな?
あ、いや、そう思っていたら前はヒソカだったじゃないか!
警戒しよう!
「どちらさまー?」
『オレだよ、キルア。修行行こーぜ』
何だよ、やっぱキルアじゃん!
「はーい」
ガチャ。
「うお、すげー寝癖」
「開口一番がそれかい君は」
しょーがないんだよ。
寝癖なんてグッスリ寝た証拠なんだよ!
……あれ?つーか、
「ゴンは?」
「いや、ここに来る前に寄ったけどいなかった。先に行ったんじゃね?」
へぇー、珍しいな。ゴンが何も言わずに修行に行っちゃうなんて……
「いーから支度しろよ。早く行こうぜ」
「はいはい」
一旦部屋に戻って着替える。
うーん、寝癖も直したいけどキルア待たせるのもなぁ。
「おまたせ、行こうか!」
「おう」
…あれ?
靴が片っぽない。
まぁサンダルでも履いていこうかな。
「……ちょ、お前これ」
「わふっ!?」
「寝癖それで隠しとけ」
キルアは被ってたキャップを私に被せた。
お、おお……不器用な優しさ!
「ありがと!」
「別に。顔もひどかったから」
「ひでぇ!」