第11章 My Cheer Girl (山口 忠)
次の日の放課後、桜井さんは数人に囲まれていた。明日の英語小テストの範囲を勉強しているようだ。声をかけようとしたけど、ちょっと近寄りがたい。その時桜井 さんと目があった。
貴「山口君どうしたの?」
山「あ、いや、ちょっと」
貴「ごめん、私用事できたから行ってくるね」
と自分のノートを隣の席の子に渡し、俺の腕を取り屋上へと向かった。
山「ごめんね、勉強中だったのに」
貴「ううん、全然大丈夫!」
山「えっと、昨日の話なんだけど・・なんで俺なのかな?って」
貴「・・・そうだね、迷惑だったよね。ゴメン」
彼女はシュンとした顔になった。俺は慌てて
山「イヤ、そうじゃなくて、俺なんかより桜井さんには似合う男がいっぱい居るって思ってたから、ホントに俺でいいのかなって。むしろ俺は桜井さんの事好きっていうか・・・、何て言うか・・・」
俺は自分が何を言ってるのか分からないくらい、テンパっていた。
貴「え、本当!!嬉しい。じゃあ、いいのかな?」
山「は、はい!」
あまりにも嬉しそうな笑顔が可愛くて、俺は反射的に返事をしていた。
貴「よかった、断られるかと思った。山口君のこと名前で呼んでもいい?」
山「うん」
貴「じゃあ、忠君も私の事名前で呼んでね」
こうして、俺に人生初の”彼女”が出来た。