第11章 My Cheer Girl (山口 忠)
貴「山口君は好きな人いる?」
そんなことを聞かれたのは放課後、日直だった桜井さんと二人で教室に残り日誌を書いていた時だった。
山「え、俺?いないけど・・・」
大抵俺に話しかけてくる女子は、ツッキーの事を聞いてくる子しかいなかった。だから、俺は”なんで俺のこと?”ってくらいにしか思わなかった。
貴「そう、よかった・・・。私、山口君の事が好きだよ。付き合ってくれない?」
思いも寄らない告白に俺は心臓が止まるかと思った。ましてや桜井さんはクラスでもハキハキした性格で男女共に人気があったし、俺も少なからず好意を抱いていた。
でも彼女との接点は同じ中学から鳥野に来て、同じクラスになったという事しかない。
山「!お、俺?!ツッキーじゃなくて?」
貴「月島君は今関係ないよ?山口君だよ」
彼女は笑いながら言った。俺は驚きで言葉が出なかった。
貴「返事、今すぐでなくていいから・・・。私、日誌持っていくね」
そんな俺を察した彼女は頬を赤く染め、教室を出て行った。
取り残された俺はしばし呆然としていた。