第10章 Valentine2(及川、月島、夜久、赤葦、黒尾☆)
放課後のことだった。
?「・・・桜井さん?」
貴「は、はい!」
赤葦君だった。ボーっとしていたから、気付かなかった。
赤「聞いてました?今日、図書委員会です。遅れますよ」
貴「ごめんなさい。忘れてた」
赤葦君と私は図書委員だ。今日は図書整理の日で、クラスごとに棚を振り分け整理をするらしい。終わったクラスから帰宅できるようだった。
貴(こんな日に委員会だなんて・・・)
私はそっとため息をつき、仕事に取り掛かった。
貴(・・・・あ、順番違ってる)
私は上段の本を取り出そうとしたが、きつく詰め込まれていて本が引き出せない。やっと取り出せたと思ったら、何冊もの本が上から降ってきた。
赤「危ない!」
赤葦君が上に覆いかぶさり、かばってくれた。赤葦君の端正な顔が至近距離にある。私の心臓は爆発するんじゃないかと思うくらい、鼓動が早くなっている。
赤「大丈夫でしたか?」
貴「大丈夫、赤葦君こそ怪我ないの?!」
赤「俺は平気です。貴方に怪我がないんならいいんです。上段は俺がやりますから」
貴「あ、ありがとう」
こんなこと言われたら、勘違いしちゃうよ?期待させないで・・・。
結局私たちが一番遅くなり、図書館に二人きりだ。この状況は神様が私に玉砕しろと言っているに違いない。私は一大決心をした。
貴「あ、赤葦君、甘いもの嫌いだと思うけど、コレを・・・」
赤「ありがとうございます」
貴「・・・あれ?甘いもの嫌いじゃなかったの?」
赤「本命の方から貰えないと意味ないですから、丁重にお断りしていました」
貴「えっ?ほ、本命!?」
赤「貴方の事、ずっと見てたんですよ。気付きませんでした?」
フッと笑った赤葦君の顔が近づいた。唇が触れ、長く深いキスへと変わっていく。そして何度も繰り返される深いキスに、私は思考が奪われる。限界を感じた時、やっと赤葦君の身体が離れた。
貴「あ、赤葦君。私、は、初めてのキスで・・こんな・・・」
赤「初めてですか?じゃあ貴方の初めては俺が全部貰いますから、覚悟しておいてくださいね」
私はこれから始まる日々に眩暈を感じた。
END
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バレンタインシリーズ続きます→