第10章 Valentine2(及川、月島、夜久、赤葦、黒尾☆)
約束の時間、合流した俺たちはまずハンバーガーショップで腹ごしらえをし、買出しをしながら、本屋や雑貨屋など寄り道をした。彼女は始終笑顔で、俺も久しぶりに彼女と居れることが嬉しかった。
楽しい時間は過ぎるのが早く、あっという間に暗くなってきた。俺たちは学校に備品を置いてくることにした。
久しぶりに入った部室を見ていると、バレー三昧の日々を思い出す。俺は自然と卒業の事が頭に浮かんだ。
夜「後一ヶ月か・・・」
貴「え?」
夜「あ、卒業まで」
貴「夜久先輩、そんな寂しいこと言わないで・・・」
しまったと思った時には、もう遅かった。つばさはボロボロと泣いている。あ~あ、涙とハナミズで可愛い顔が台無しだ。
夜「ゴメン・・・。ほら、顔拭け」
俺はティッシュで顔を拭いてやる。
夜「・・・俺はつばさが好きだ。だから卒業しても会いに来る」
貴「・・・夜久先輩」
つばさはキレイにラッピングされたチョコを俺に差し出した。
貴「私も先輩の事、好きです」
そう言いながら、手袋をしたままの手で涙を拭う。
夜(ん?手袋?そういえば、食事の時もはめてたような?)
夜「・・・つばさ、手を見せてみろ」
貴「ダ、ダメです」
俺は手首をつかみ、無理やり手袋を取る。やっぱり。手は絆創膏だらけだった。
夜「お前、俺に渡したかったチョコはこれじゃないだろ」
つばさは鞄を後ろに隠した。
夜「ハイ、隠さない」
貴「・・・コレ、手作りしたんですけど失敗しちゃって・・・」
昨日の彼女の姿が目に浮かぶ。手作りした時に、手を怪我したんだな。
さっきのチョコと違い、リボンやラッピングがガタガタだった。それでも彼女の気持ちが嬉しかった。
夜「俺は、こっちを貰うからな」
貴「は、はい」
夜「それから、これも貰う・・・」
俺はつばさを抱き寄せ、キスを・・・ カタン・・・。
扉から音がし、人の気配がする。俺は静かに扉に寄り、勢いよく開けた。
そこには、ニヤニヤした黒尾、我関せずといった研磨、山本とリエーフが地面にうなだれている姿があった。
夜「~~~お前らぁぁぁあ!!!」
俺が全員にケリを入れたのは言うまでもない。
END
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バレンタインシリーズ続きます→