第9章 Valentine1(日向、影山、嶋田、菅原、岩泉、澤村☆)
嶋「今日はおっさん相手で残念だったな。バレンタインなのに、デートする相手はいなかったのか?」
貴「今、デートしてるじゃない」
嶋「は?」
貴「誠兄とデート」
嶋「何言ってんだか、このお嬢さんは」
俺が軽く笑いとばした時、ちょうど赤信号で止まった。
貴「私は本気なんだけどな。誠兄のこと。男の人として好きだよ」
助手席のつばさは至って真面目な顔で、俺は今まで妹と思っていた彼女からの告白に動揺していた。
嶋「お前の周りには若くて、もっといいのが居るだろ?10歳も離れてんだぞ」
信号が青になり再び車を走らせる。
貴「だって、誠兄にしかドキドキしないんだもん」
嶋「お前は俺が淫行条例で捕まればいいと思ってんのか?」
俺は冗談交じりに言葉を返す。
貴「え、ちゃんと女として見てくれてるの?そういう事もしてくれるの!?」
つばさはキラキラした眼をして嬉しそうに言う。あぁ、こいつに今何を言ってもだめだ。
嶋「とにかく、18歳未満お断り。お前は可愛いから、そのうち年相応の彼氏ができるだろう」
貴「じゃあ、18歳になったら付き合ってくれる?」
嶋「はいはい、その時になったら考えてやる」
貴「私、心変わりしない自信あるから」
その根拠のない自信はどこからくるんだろうか。それまでには、彼氏が出来て笑い話にでもなってるだろう。そしてつばさの自宅に着いた。
嶋「はい、到着」
貴「ありがとう。これ手作りチョコなの。食べてね」
可愛い包みの箱を渡された。
嶋「ありがとな」
貴「後、これも」
左頬につばさの柔らかい唇の感触がした。
貴「じゃ、おやすみなさい」
彼女はさっと車を降り、自宅へと入って行った。そして俺は一人、熱の残る左頬を押さえ呟いた。
嶋「おっさん本気にさせてどうすんだよ」
彼女が18歳になるまで後2年。日ごと可愛くなるであろう彼女に対し、我慢が出来るのか俺には自信がなかった。
END
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バレンタインシリーズ続きます→