第31章 笑顔の行方(茂庭 要)
その日以来、私は茂庭さんと連絡を取りづらくなってしまった。だって私が彼女だったら他の女の子と仲良くしてるなんてやヤキモチを妬いてしまう。
いっそのこと告白して失恋してたほうがよかった。こんなに好きなのに・・・私の気持ちは完全に行き場を失ってしまった。
いつもの学校の帰り道。だけど茂庭さんのことを考えるとどこか自分が知らない街を歩いているような気がする。
夕日でオレンジ色に染まった川沿いの土手。子供のころはよくここで四葉のクローバーを捜していたっけ。
そのころは四葉のクローバーをみつけたら何でも願いがかなう気がしていた。クローバーがたくさんあるところに近づいてみると四葉のクローバーを見つけた。
でも今はそんなことで願いが叶うことがないってわかってる。
四葉のクローバーの花言葉は”幸運”と”私のものになって”。でも今そんな事が起こるなんてのありえない。
茂庭さんの幸せに水を差しちゃダメだよね。こればっかりは私の気持ちだけの問題じゃない。恋って努力したってダメなときはダメなんだ。
私お邪魔だったんだろうな。彼女さんだって他の女の子と仲良くしているのを知ったら気を悪くするだろう。私はクローバーの絨毯の上にぱたりと仰向けに寝転び、腕で泣き顔を隠した。
どれくらいそうしていたんだろう。頭の方から声が降ってきた。
茂「つばさちゃん、どうしたの?」
声の主は今一番会いたくて、会いたくなかった茂庭さんだった。
貴「え!!」
その声に反応して急いで涙をふき上半身を起こす。茂庭さんはそんな私の横に腰を下ろした。
茂「なんか、目赤いよ?大丈夫?」
茂庭さんが私の顔を覗き込む。
貴「えっと、何でもないです。ちょっと疲れちゃって」
茂「・・・また無理してない?俺でよかったら話聞くよ」
茂庭さんは私の頭をよしよしと撫でてくれた。
そんな優しい言葉かけないで・・・。もう終わりにしなくちゃいけないのに。