第31章 笑顔の行方(茂庭 要)
そして次の日の放課後、再び私は茂庭家に来ていた。
治療費を支払い、領収書を貰ってから私は話を切り出した。
貴「茂庭さん、私一つお願いがあるんですけど・・・」
茂「え、何かな。俺にできる事?」
茂庭さんはキョトンとして私を見つめる。
貴「実は私、仔猫飼うの初めてなんです。で、しつけの仕方がよくわからなくって・・・」
茂「そうなんだ。それじゃぁコレ俺も初めて仔猫飼うとき読んだ本なんだけど、詳しく書いてあってわかりやすいから見てごらんよ」
貴「あ、写真いっぱいで見やすいです」
茂「よかったら、この本俺もう読まないからつばさちゃんにあげるよ。困ったことがあったら、俺でわかる範囲で教えてあげるからいつでも連絡しておいで」
貴「え、良いんですか?ありがとうございます!」
茂「あ、そういえば気になってた事があったんだ。小梅にリボンつけてたでしょ?あれ、見えていないところで遊んでてどこかに引っかかったら首が締まって危険だから、やめた方がいいよ」
貴「そうなんですか?」
茂「うん。もし、首輪を着けたかったら安全首輪っていう一定の負荷がかかると外れる仕組みの首輪があるから」
貴「そういう物があるんですね~。探してみます」
茂「というか、・・・えっと、実は今日学校の帰りにうちの猫の餌買ったついでに見つけてコレを小梅にプレゼントしたいんだけどいいかな?」
貴「え?」
茂庭さんは私に紙袋を渡してくれた。袋を開けると赤い和柄地に小さな梅の花のモチーフが付いた安全首輪が入っていた。
私はびっくりして茂庭さんの顔を見た。
茂「つばさちゃんの趣味かわかんないけど、今言ってた安全首輪。小梅に似合うかなと思って・・・。それからコレも・・・」
そういってもう一つ袋をくれた。開けると中には小梅とおそろいの梅の花モチーフの携帯ストラップが入っていた。
茂庭さんの顔を見ると大分赤い。コレって・・・私期待していいのかな。
私は早速スマホにストラップをつけた。
貴「ありがとうございます!すごくかわいいです。大事に使いますね!!」
茂「気に入ってもらえてよかった」
そんな私を見た茂庭さんは照れくさそうに笑ってくれた。
あぁ、やっぱり茂庭さんの笑顔が見れると嬉しくてドキドキが止まらない。これは重症だ。