第30章 lovesickness 3 (月島 蛍)
仮眠をとった後、少し眠気の残る身体を起こし学校に向かう。
いつもの時間、いつもの体育館、だけど誰よりも早く”おはよう”って言ってくれる君はいない。それを寂しく感じながら体育館の扉を開ける。
月「っす」
体育館の中に入ると僕の顔を見た瞬間影山が走ってきて、いきなり僕の胸ぐらをつかんだ。
影「月島ぁ!!お前一緒にいたんだろ!何でこんな事になってんだよ!!」
田「やめろ、影山!!」
影山は今にも僕を殴りそうな勢いだが田中さんが影山を後ろから押さえてくれ、澤村さんが間に入った。
澤「月島だって巻き込まれてたかもしれないんだぞ!一回落着け。悪いのは運転手だろ!」
影山は舌打ちをし、乱暴に手を離した。
澤「・・・それで、桜井はどうなんだ?」
月「・・・とりあえず、峠はこして命に別状はありませんが、意識が戻っていなくて・・・家族以外面会謝絶で様子を見るしかないそうです」
清「そんな・・・」
体育館の空気が一気に重くなり水を打ったように静かになったが、その静寂を破ったのは澤村さんだった。
澤「・・・なぁ、皆。ここで落ち込んでも仕方ないぞ。とりあえず命に別状はないってことは、治ってここに戻ってくるってことだろ。桜井が帰って来た時に前よりすごいプレイができるよう今まで以上に練習するぞ!」
全「「「「あっす!!!」」」
皆、表面上は平気な顔をしているけど、やはり心の中では彼女の事が心配なようで、いつもの調子が出ていない。
武田先生も病院に様子を見に行ってくれたけれども、そんなに急に容態がよくなるはずもなく意識がないままだったらしい。
僕も会えないとわかっていても、練習が終わると彼女が入院している病院に行き建物の外から彼女がいるはずの病室の窓を見つめた。