第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
つばさsaid
辺りはすでに暗くなり街灯がチカチカと周辺を照らしている。
私は青山さんから大分離れたところで月島君の帰りを待っていた。
そのうち佐竹さんが走ってきた。佐竹さんは青山さんに抱きつき二人でぼそぼそと話をしていた。
話が終わったのか青山さんは私の方へ走り寄り、その後を佐竹さんが追ってくる。そして青山さんは両手で私の胸ぐらをつかみ、佐竹さんは彼女を止めようと青山さんの手を掴んだ。
青「やっぱり月島君はあんたの事が好きなんじゃない!」
佐「やめて、梨花子。私は自分の気持ちを伝えることが出来ただけでいいの!!」
貴「は、離して・・・」
私たちがもみ合っていると出口に月島君の姿が見え、私たちに気付き急いで駆け寄ってきてくれるのが見えた。
そして青山さんは思いもかけない言葉を泣きながら叫んだ。
青「友里が月島君を好きだって言うから諦めたのに、どうしてあんたなの!!私だって月島君が好きだったんだから!!」
あぁ、青山さんも月島君が好きだったんだね。私はその言葉を聞いて、引っ叩かれたこともすべて許せるような気がした。居心地がよくて曖昧な関係のまま甘えていた私が悪かったんだ・・・。
とその時大きなアクセル音が聞こえ蛇行しながら歩道側に車が寄って来た。ブレーキも掛けず縁石に乗り上げ私たちの方向へ向かってくる。道路側に背を向けていた私は皆よりそれに気付くのが一瞬遅れた。
貴・青・佐「きゃぁぁぁ!!」
月「桜井!!!」
私に手を伸ばした月島君の手はわずかに届かず、最後に見えたのは車の明るいヘッドライトだった―――――
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