第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
気が強そうな女の子の方は憎々しげな眼で桜井を睨みつけている。桜井が少し後ずさりをしたのを見て、僕は直感で彼女が桜井を傷つけたんだと思った。
そして沈黙を破ったのは、背の小さな大人しそうな子だった。
佐「つ、月島君。私、佐竹友里と言います。少しだけ私に時間をくれませんか!」
月「・・・ごめん、桜井。ちょっと待ってて」
この状況でもう一人の子と桜井を二人にしたらまずいかもしれない。でも断ったほうが悪化するような気がし、僕は了承した。
僕は佐竹さんと公園の中に戻った。
桜井達の姿が見えなくなった辺りで彼女は足を止め僕の方を向いた。
佐「月島君。私ずっと貴方の事見てました。コレ受け取ってください」
僕は可愛い封筒の手紙を渡された。
月「・・・手紙は貰うけど気持ちは受け取れない。ごめん」
佐「あの、桜井さんの事が好きなんですか?」
月「悪いけど僕には僕の理由があるから、それには答えられない」
佐「・・・ごめんなさい。立ち入ったことを聞いて。手紙受け取ってくれてありがとうございました」
彼女は僕に頭を下げると目にいっぱいの涙をためて、公園を走っていった。
これで事情が大体分かった。おそらく昼休みに手紙を桜井経由で渡そうとしてモメたんだろう。それを偶然影山が見ていたといったところか・・・。
これで収まってくれるといいんだけど。僕はため息をつき、出口へと向かった。