第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
まだ少し赤みの残る顔で桜井は上目遣いに僕を見て言った。
貴「・・・でも用事があるのは本当。雑貨屋さんでハンカチ買おうと思って・・・」
月「わかったよ。僕も付き合うから、もう遅いし早く行くよ」
貴「え、でも月島君そういうところ苦手でしょ?」
確かにああいった場所は苦手だ。化粧品や香水の匂いが充満し女の子が所狭しと買い物をしている。一度入ってからもう二度と入るものかと思ったぐらいだ。
でも店に寄ると大分遅くなりそうだし、そんな遅い時間に桜井を1人で帰したくない。
月「・・・店の前で待ってるよ。帰り危ないデショ」
貴「月島君・・・。ありがとう」
こうして買い物に行くことになった僕たちは公園を出たところで、昼の二人組とばったり出くわしてしまった。桜井は真っ青な顔になり足が止まったままだ。何だかマズイ感じがする。