第29章 lovesickness 2 (月島 蛍)
私たちは体育館裏に移動した。そして青山さんが一方的に話してきた。
青「桜井さん、月島君と付き合ってるって噂本当ですか?」
貴「付き合ってないよ。部活の練習で遅くなるから送ってもらっているだけだから・・・」
佐「あの、すみません。私この前の雨の日に桜井さんの家に月島君が入っていったの見てしまったんですけど・・・」
おずおずと佐竹さんが話す。困ったな。よりによってうちに入ったところを見られていたなんて・・・。
貴「私たちの兄同士が同級生で、たまたま家でご飯を食べることになっていて、それで合流しただけだから・・・」
私は必要最小限の事だけを告げた。月島君との関係は私にとっても曖昧だ。これ以上説明してもあらぬ誤解を招くだけだし・・・。
青山さんは疑わしい目を私に向けている。
青「じゃぁ、友里が月島君に告白してもいいんですね?」
貴「それは・・・私に聞くことじゃないんじゃない?佐竹さんが決めることだと思う」
佐「じゃぁ、これ月島君に渡していただけませんか?」
佐竹さんは手紙を私に渡そうとした。
私は自分が月島君に手紙を渡すと気まずくなるんじゃないかと思ったのも事実だ。
でも日向君に告白できなくて後悔した事や、中学の時の事を思いだし佐竹さんに言った。
貴「佐竹さん、月島君の事本気なら自分で渡した方がいいよ」
青「あんた、やっぱり月島君と付き合ってるんでしょ!!はっきり言いなさいよ!」
佐「やめて梨花子!」
佐竹さんは怒った青山さんを止めにかかったが、私は青山さんに頬を思いっきりひっぱたかれ、よろけて木の幹に額を擦ってしまった。
貴「きゃぁ!」
?「おまえら、そこでなにやってんだよ!!」
バレーボールが転がって来るのが見えた。あ、この声影山君だ。助かった。
青「やば、行くよ友里」
佐「ご、ごめんなさい!!」
青山さんは佐竹さんの手を取って走り出す。佐竹さんは去り際こちらを見てあやまっていった。